東洋医学をの治療で、よく『経絡』という言葉を耳にしますが、一般に治療にいらっしゃる方々はなんとなくのイメージしかできないと思います。ここで少し東洋医学の基本である『経絡』について知っていただきたいと思います。
経絡というのは、「経脈」(けいみゃく)と「絡脈」(らくみゃく)をくっつけた用語です。鍼灸の治療院には経絡を描いた人体図や模型が置かれていて、そこには体内を網の目のように走っている何かの通路のようなものであることはおわかりでしょう。私たちの体内では、飲食物、呼吸、それに両親から授かった先天的エネルギー(精)などが、五臓六腑の機能により身体に合うように作り変えられています。現代医学ではこれは栄養素であり、東洋医学では気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)になります。それでは、気(き)・血(けつ)・津液(しんえき)とは何でしょうか?簡単に説明していきましょう。
「気」(き)とは見えないが実体のある”物”です。中国思想では大宇宙を「太極」(たいきょく)といって、太極には「気」が満ちていると考えられています。地球上の空気ではなく宇宙なのであくまでも「気」なのです。さらに、「気」にも希薄な部分と密な部分があり、密な部分が物体を構成しているとされています。つまり人の身体は「気」が集まってできているということです。では、「血」(けつ)と「津液」(しんえき)は何かという疑問が出てきますが、元は同じ太極の「気」であり完全に分けて考えてはならないということです。「血」(けつ)は全身に栄養を行き渡らせるという部分では「血液」と同じですが、その他に精神活動を支えるという役割の物質でもあります。なので血(けつ)が不足すると不眠とか不安、健忘などの症状がでるのです。また「津液」(しんえき)は、消化された食べ物の水分が小腸と大腸から脾臓へと運ばれて作られます。「血」(けつ)以外の体液のすべてを「津液」(しんえき)といい、体内各所を潤すことが「津液」(しんえき)の主要な役目と考えられます。
東洋医学ではこれらの「気」(き)・「血」(けつ)・「津液」(しんえき)を全身各部位に運び、さまざまな機能にかかわらせているのが『経絡』なのです。また現代医学で伝達系(神経系)、循環器系、筋肉系などに分けられる機能を、すべて経絡でひとくくりにします。作用的には神経と血管をまとめたような存在といえるかもしれません。
鍼灸では、幹部とかけ離れた部位から治療することが珍しくありません。偏頭痛の人に対して、足の第四指にある「竅陰」(きょういん)というツボに針を打って治療することもあれば、手足など末端の血行障害を治すのに、腰や背中のツボを使うこともあります。これは、東洋医学では経絡が気血を運び、「気」(き)と「血」(けつ)の間には相互作用があるから可能なのだと考えているからです。
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